『私の女性詩人ノート』読書ノート

『私の女性詩人ノート』は詩人・たかとう匡子さんによる近現代の女性詩人論であり、現在三冊出ている。感想をまとめておきたい。 ちなみにわたしは詩を読むのが苦手で、この本で取り上げられている詩人の方々もあまり知らない。でもこの本作のように誌の解説…

「世界が魔女の森になるまで ー 第30回萩原朔太郎賞受賞者 川口晴美展」

前橋文学館で開催中の「世界が魔女の森になるまで ー 第30回萩原朔太郎賞受賞者 川口晴美展」に行ってきました。私が川口さんの詩を好きになったのは最近なのですが、そのタイミングで展覧会が開かれることを知ったので、これは絶対に行かねば!と気合を入れ…

ほぼ初めての俵万智の衝撃。『未来のサイズ』を読んで。

俵万智さんの名前はもちろん知ってる。サラダ記念日、その他ふたつかみっつの有名な短歌も知ってる。だけど歌集としてちゃんと読んだことはない、という距離だった。私自身、あまり短歌とか詩とかがわからなくて、でもわからないなりに気になりつつあったそ…

2022年12月に読んだ本

イザベラ・ディオニシオ『イタリア人が偏愛する日本近現代文学』 現代から、そして女性から見たツッコミ視点がメインなのだけど、とても面白く愛情深く紹介されていて、名前しか知らなかった名作たちを読みたくなる。全体としてとても良い近代文学ガイドだな…

僕だって猫の話をしていたい〜歌わせたい男たち

高校の卒業式当日の朝、今年も国歌斉唱時の不起立を表明している歴史教師、起立して国歌斉唱してほしい校長と若手の英語教師、よく事情を知らずあわあわしている元シャンソン歌手の音楽講師、なぜか全員が集まってきてしまう保健室の先生によるドタバタ悲喜…

2022年11月に読んだ本

方方『棺のない埋葬』(訳/渡辺新一) 柩のない埋葬 作者:方方 河出書房新社 Amazon 土地改革に翻弄された家族とその子孫の記憶をめぐる物語。隠された父母の物語ももう知りたくないと思う人、忘れ去られていく歴史を正しく記録しておくべきだと思う人。互…

キム・エラン×中島京子対談「小説家としての過去、今、そしてこれから」@K-BOOKフェスティバル2022を観覧してきました

今日はK-BOOKフェスティバルにて、キム・エラン×中島京子対談「小説家としての過去、今、そしてこれから」を観覧して来ました。 いろいろ忘れないうちにメモに起こしておこうと思います。 とりあえずの所感としてはキム・エランさん、声が!お優しい!!! …

救われても、救われなくても。(キム・エラン『ひこうき雲』訳/古川綾子 )

キム・エランさんの最新短編集『ひこうき雲』が期待以上に素晴らしくて何度も読み返している。その中でも「水中のゴリアテ」は今回感想を書くために何度も何度も読み返したけど本当に圧倒された。 彼女の描く物語はどれも楽しい状況とは言い難いし、わかりや…

一年と三十万字の先に(古谷田奈月『フィールダー』)

古谷田奈月の新刊『フィールダー』を読んだ。 この小説が発売された八月末、私は絶賛コロナに罹患しており、家庭内隔離の状況下だった。普段はほしい本はe-honで注文して近所の書店に買いに行く。だけどそうはいかない状況下だったのでネット通販で発売日に…